オレオナノサイエンスシンポジウム2011
−オレオナノサイエンスと界面動電現象−

主催:日本油化学会 オレオナノサイエンス部会

協賛:化学工学会、高分子学会、色材協会、日本化学会、日本塗装技術協会、日本分析化学会、日本膜学会、日本薬学会、日本レオロジー学会、界面動電現象研究会

会期:2011年11月24日(木)

会場:東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム(東京都新宿区神楽坂4-2-2)
【交通案内】こちらの地図(東京理科大学神楽坂キャンパス)の左上

 今から200年前、帝政ロシアの地質学者ラウスによって発見された界面動電現象はコロイド界面科学とともに発展してきました。界面における拡散電気二重層の概念はコロイド界面科学ではDLVO理論に集約されますが、最近はむしろ実用的な場面において拡散電気二重層のダイナミクスが注目されます。
 本年度のシンポジウムでは、コロイド分散系の分離技術、荷電膜の挙動、ファウリング、マイクロ流体デバイスの内部におけるコロイド配列など、界面動電現象についてそのクラシックな技術から、最先端のトピックスまでを網羅し、来年の5月に開催される第10回界面動電現象国際シンポジウムELKIN 2012のプレセミナーを兼ねた企画を行います。
 講師の方々に関連する基礎事項と最近の話題をご提供いただき、今後の研究展開の可能性、方向性について理解を深めます。また、参加者同士あるいは講師の方との交流を促進する目的で、ポスター発表の機会も設けます。皆様の積極的なご参加をお待ちしています。


プログラム

司会進行 足立泰久(筑波大学 生命環境科学研究科)
友田敬士郎(東京理科大学 薬学部)
09:10
開場
09:40-10:40
界面動電現象を応用した微粒子分散系の分離技術−電気浸透脱水法−
Separation technique of fine-particle dispersed systems with application of electro-kinetic phenomena−Electro-osmotic dewatering−
小山工業高等専門学校 吉田裕志
 微粒子分散系のような固−液系混合物の分離には、重力沈降、遠心分離、濾過といった機械的方法が一般に用いられている。しかし、分散粒子が微細なコロイド粒子の場合や粒子と分散媒の密度差が極めて小さい場合には、機械的分離法を利用することは極めて困難となる。
 電気二重層に起因する界面動電現象である電気泳動現象や電気浸透現象は微粒子分散系の固液混合物の分離駆動力として利用でき、サスペンションのような場合の沈降速度の増大や濃縮、スラリーやスラッジなどの濾過速度や脱水速度の促進、および濾過・脱水ケークの含水率の低減、減容化などに有効に応用することができる。本講演では、その中で電気浸透現象を利用した脱水法について、脱水対象物の電気的特性に対する印加電場の操作方法や電気浸透法の有効性に関する知見を中心に最近の研究成果を紹介する。
10:40-11:40
食品素材の分子および表面間相互作用を利用した微細分散系の作製
Preparation of food colloidal materials using molecular and interfacial interaction
筑波大学 生命環境科学研究科 市川創作
 食品の機能特性向上のため食品素材の微細加工技術の開発や、微細加工された食品素材の特性評価が進められている。本講演では、可食性高分子の複合化による微細粒子の形成や、エマルションを基材とした物質内包脂質ベシクルの作製など、食品素材の静電相互作用や疎水相互作用を利用したナノからマイクロメートルサイズの微細粒子分散系の作製とその特性について紹介する。
12:50-13:50
界面電気化学を用いた荷電膜のキャラクタリゼーション
Electrochemical characterization of charged membranes

東京工業大学大学院 理工学研究科 松本英俊
 荷電膜系における透過・分離機構を理解するためには荷電膜/溶液界面の電気化学的な性質を明らかにすることが不可欠である。本講演では、流動電位測定を用いた荷電膜のキャラクタリゼーションの基礎と、講演者がこれまでに行ってきた両性荷電膜、逆浸透膜、イオン交換ナノファイバー膜を中心に種々の荷電膜系への適用例を紹介する。
14:00-14:50
マイクロ流体デバイスを用いたゲル固定コロイド結晶の作製
Fabrication of gel-immobilized colloidal crystals in microfluidic devices

横浜国立大学大学院 工学研究院 金井俊光
 単分散コロイド微粒子が水などの液体中に分散したコロイド分散液において、粒子間の静電反発力を大きくすると、粒子同士が自己組織的に3次元周期配列構造を形成することが知られている。この状態は、コロイド微粒子からなる周期配列体(すなわち結晶)という意味から、コロイド結晶と呼ばれており、安価で大量生産可能な3次元フォトニック結晶になることから注目されている。現在、コロイドフォトニック結晶の応用に向けて、粒子配列性の向上やコロイド結晶の形状制御、さらにその粒子配列や形状を固定化する技術開発が重要な研究課題になっている。本発表では、マイクロ流体デバイスを用いて、コロイド結晶を流動させることで、高粒子配列のコロイド結晶フィルムや球状、シェル状コロイド結晶を作製し、高分子ゲルでそれらを固定化する方法を報告する。
14:50-15:20
コーヒーブレイク
15:20-16:20
誘起電荷電気浸透現象とそのマイクロ流体素子への応用
Microfluidic applications using induced-charge electro-osmosis and electrophoresis

キャノン株式会社 技術フロンティア研究センター 杉岡秀行
 誘起電荷電気浸透(Induced-charge electro-osmosis、略称ICEO)は、印加電界とその印加電界自体による分極効果によって形成される電気二重層内のイオンとの相互作用により、電界の二乗に比例する電気浸透流を発生する現象である。従来のDC電気浸透と異なり、@AC駆動によって電気分解等のDC電圧問題を回避できること、A低電圧(〜V)で大きな流速(〜mm/s)が得られることより、マイクロ流体素子への応用が期待される。本講演では、ICEOの基礎から応用までを、我々の研究[1-6]を中心にビデオを交えて紹介する。
[参考文献:1. PRE 78,057301., 2. PRE 80,016315., 3. PRE 81,036301., 4. PRE 81,036306., 5. PRE 83,025302(R)., 6. PRE 83,056321.]
16:20-17:20
総合討論「界面動電現象研究の新展開、ELKIN 2012の準備状況報告」
総括 大島広行(オレオナノサイエンス部会 部会長)
17:30
閉会


申込方法
氏名(ふりがな)、所属、連絡先(住所、TEL、FAX、E-mail)、会員種別(普通会員、協賛学会会員、法人会員、非会員、学生)をご記入の上、E-mailで下記宛お申し込みください。また、ポスター発表を希望される場合は、ポスター発表のタイトルと共同研究者名を併せてご連絡ください。
(尚、ポスター発表の場合は11月6日までにお申し込みください)
【宛先】東京理科大学 薬学部 友田敬士郎(tmodak46@rs.noda.tus.ac.jp)
参加費
日本油化学会普通会員 10,000円
協賛学会会員 10,000円
法人会員勤務者 12,000円
非会員 15,000円
学生 2,000円
参加費は事前に下記にご送金ください。
三井住友銀行 柏支店(498)
口座(普通) 7819354
名義 オレオナノサイエンス部会

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