オレオナノサイエンスシンポジウム2007
−ナノゲル多孔質体の界面および移動現象と環境−

主催:日本油化学会 オレオナノサイエンス部会

協賛:化学工学会、高分子学会、色材協会、日本化学会、日本塗装技術協会、日本分析化学会、日本膜学会、日本薬学会、腐食防食協会、IAP2008国内委員会

会期:2007年11月19日(月)

会場:東京理科大学 森戸記念館 第1フォーラム(東京都新宿区神楽坂4-2-2)
【交通案内】こちらの地図(東京理科大学神楽坂キャンパス)の左上

ナノゲル多孔質体の界面における移動現象は環境や生命現象と密接に結びついており、規則性多抗体膜などの材料開発にともない、近年、産業的にも様々な角度から注目されています。対象となる現象には、電子、プロトン、イオン、分子、流体などの界面における物理化学とその動力学が様々なスケールから関与しており、それらを体系的に理解することが、工学的な応用問題を考える場合においても近道となります。そこで、オレオナノサイエンス部会ではこの分野の第一線で活躍されている若手研究者によるシンポジウムをおこない、ナノゲル界面の移動現象に関わる基本的事項と研究展開の方向性に理解を深める機会を設けることにいたしました。

尚、本シンポジウムは日本油化学会が協賛し、来年の6月1日〜4日に開催予定の国際会議The 5th International Conference Interface Against Pollution 2008(IAP2008)のプレセミナーを兼ね、環境面における応用についても触れたディスカッションを行います。奮ってご参加ください。


プログラム

(詳細はオレオサイエンス2008 Vol.8 No.2 pp.40-82にて特集で紹介されています)

9:30-9:40
挨拶 田嶋和夫(日本油化学会前会長)
9:40-11:10
多孔基材細孔中フィリングポリマーの物性と応用〜燃料電池から生体機能膜模倣まで〜
東京工業大学 資源化学研究所 山口猛央
ポリマーを数十ナノメートルの細孔中に閉じこめると、バルクのポリマーとは異なる物性を発現する。ポリマー分子が、多孔体マトリックス中に閉じこめられ、ミクロな運動性を維持したままマクロな膨潤が抑制されるからである。この現象は、多くの分野に応用可能である。燃料電池電解質膜では、細孔中において電解質ポリマーをさらに相分離など高次構造に形成させると、細孔中での水の状態が制御され、ほぼプロトンだけが透過する電解質膜の開発に結びついた。生体機能を模倣した膜開発のために、多孔基材細孔中にセンサーとアクチュエーターを持つグラフトポリマーを固定すると、センサーが特定物質を認識したときにだけ細孔が開閉するゲート膜の開発にも成功した。これは、生体の興奮状態と同様に、自律的に細孔を開閉し浸透圧を振動させる。細孔中にポリマーをただ閉じこめているのでなく、細孔中に機能を協調させたシステムを構築しているのである。これらの現象を紹介する。低分子化合物の自己集合を利用したナノ粒子の合成、高分子の自己集合を利用したナノ粒子の合成、重合法による最近の高分子ナノ粒子の合成とそれらの機能材料への展開について紹介する。
11:20-12:20
金属イオンの表面錯形成と廃水処理
早稲田大学 理工学術院 所 千晴
処理量の多い廃水では、水酸化第二鉄と希薄有害元素が共沈する現象を利用した共沈法が安価かつ簡便な処理法として知られているが、そのメカニズムは定かではない。本研究では、共沈メカニズムを探るべく、共沈および吸着実験による希薄有害元素除去特性の比較によって種々の考察を行った。いくつかの有害元素の共沈現象は、吸着現象と定量的にほぼ一致しており、水酸化物への表面錯体モデルを用いて除去特性を再現することが可能であった。しかし、As(X)と水酸化第二鉄のように相互の親和性の高い有害元素では、共沈量は吸着量に比べて圧倒的に大きく、表面錯体形成に加えて他の除去メカニズムが存在することが明らかとなった。
12:20-13:20
休憩(昼食)
13:20-14:20
天然高分子電解質の静電ポテンシャルの評価
東京大学大学院 工学系研究科 斉藤拓巳
水・土壌環境中に豊富に存在する天然高分子電解質であるフミン酸は有害な化学物質の環境挙動に大きな影響を及ぼす。フミン酸が関与する様々な反応(結合、吸着、移行)では、分子が有する静電ポテンシャルが重要な役割を果たすことが知られている。本発表では、ニトロオキシドプローブを用いた蛍光消光法により、フミン酸のポテンシャルを直接評価し、モデル計算と比較した結果を紹介する。
14:30-15:30
有機分子のナノサイズ細孔内拡散
筑波大学大学院 数理物質科学研究科 中谷清治
多孔質粒子内プロセスの研究は、土壌や分離材料、触媒等の解明や開発のため重要である。本講演では単一粒子計測法を用いて、ナノメートル細孔内を溶質が吸脱着しながら拡散する過程の速度論的研究を紹介する。
15:40-16:40
球状粒子の電気泳動:モデルと実験
岩手大学 農学部 小林幹佳
水溶液中に分散した球形で大きさの揃ったラテックス粒子とシリカ粒子の電気泳動移動度を電気泳動光散乱法により測定した。様々な溶液条件において測定された移動度のデータを、標準的な動電モデルと古典的な電気二重層モデルを用いて解析した。実験データとモデルによる計算値はよく一致し、使用された粒子が理想的な標準粒子とみなし得ることが分かった。
16:50-17:10
IAP2008の紹介および総合討論
農村工学研究所 大井節男
閉会 大島広行(オレオナノサイエンス部会 部会長)


募集人数
70名(定員になり次第締め切ります)
申込方法
氏名(ふりがな)、所属、連絡先(住所、TEL、FAX、E-mail)、会員種別(普通会員、法人会員、非会員、学生のいずれか)をご記入のうえ、E-mailで下記宛お申し込み下さい。
【宛先】東京理科大学 薬学部 高田陽一(yoichit@rs.noda.tus.ac.jp)
参加費
本会普通会員 10,000円
協賛学会会員 10,000円
法人会員勤務者 12,000円
非会員 15,000円
学生 2,000円
参加費は事前に下記にご送金ください。
三井住友銀行 柏支店(498)
口座(普通) 7819354
名義 オレオナノサイエンス部会

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