2009年 油脂産業技術部会セミナー
−有用油脂の高度利用 「油脂と健康」−
プログラム(演題と講師)
1.微生物機能を活用した様々な機能性脂質素材の生産 (10:10〜11:00)
京都大学微生物科学寄附研究部門 小川 順氏
微生物機能の活用により、これまでにない様々な機能性脂質素材の生産が可能となっ
てきている。糸状菌を用いた高度不飽和脂肪酸生産、嫌気性細菌を用いた共役脂肪酸生
産を中心に、希少脂肪酸類の微生物生産を俯瞰する。
2.高度不飽和脂肪酸を含む油脂の発酵生産とその生理活性 (11:00〜11:50)
サントリー株式会社 健康科学研究所 河島 洋氏
日本で生まれた脂肪酸発酵により、アラキドン酸やジホモ-γ-リノレン酸(DGLA)の大
量生産が可能となった。その経緯とともに、ドコサヘキサエン酸等も含めた長鎖高度不
飽和脂肪酸の生理機能について概説する。
3.有用海洋油脂の探索 (13:00〜13:50)
北海道大学 水産科学研究科 生命資源科学専攻 宮下 和夫氏
藻類脂質にはEPAの他、オメガ6系の機能性脂肪酸であるアラキドン酸も多い。また、
褐藻類等には、注目すべき生理活性カロテノイド、フコキサンチンも含まれている。本
講演では、藻類脂質の有用性を中心に海洋油脂の今後について概説する。
4.DHA結合型リン脂質研究から見た睡眠、記憶、メタボリックシンドロームについて。
(13:50〜14:40)
日油株式会社 食品事業部 食品研究所 岩並 孝一氏
当社はDHA結合型リン脂質の機能研究を以前より行っており、最近では新たな展開と
して睡眠に関する研究を進めている。記憶・メタボリックシンドロームと深く関連して
いることが明らかになり、今回はこの睡眠研究に関する部分を中心に報告する。
5.コレステロール仮説の崩壊にともなう脂質栄養の新方向 (15:00〜15:50)
金城学院大学 「脂質栄養」オープン・リサーチ・センター 奥山 治美氏
コレステロールと動物性脂肪を悪玉とし高リノール酸油を善玉とする栄養指導は間違
っていた。動物性脂肪の方が安全であり、食事脂肪酸のn-6/n-3バランスを下げることが、
健康増進に最も重要である。
6.高齢化社会とコエンザイムQ10 (15:50〜16:40)
東京工科大学 応用生物学部 山本 順寛氏
コエンザイムQ10はATP合成に不可欠であり、大切な抗酸化物質でもある。ヒトは自ら
コエンザイムQ10を合成しているが、その組織内濃度は加齢とともに減少するので、抗
加齢対策の切り札として注目を集めている。
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