日本油化学会

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関 東
日本油化学会界面科学部会 関東地区行事

平成28年度 第63回界面科学部会秋季セミナー

化粧料・洗浄料の先端技術とその応用

主催:日本油化学会界面科学部会

 化粧品・トイレタリー、洗浄料の開発においては、界面に着目した技術開発が日々行われ、ヒット商品につながっています。これら製剤技術、物性評価、構造評価について最先端の研究に取り組んでいる研究者に基礎から応用まで講演していただきます。また、講演者、参加者同士で交流を深め、研究者・技術者ネットワークをひろげてみませんか。

協賛 日本薬学会・日本家政学会・色材協会・高分子学会・日本膜学会・日本農芸化学会・
日本食品科学工学会・日本材料学会・日本化粧品技術者会・材料技術研究協会・
日本レオロジー学会・日本香粧品学会
期間 平成28年10月31日(月)~11月1日(火)
会場 IPC生産性国際交流センター(神奈川県三浦郡葉山町湘南国際村)
http://www.js-ipc.gr.jp/
〔交通〕JR逗子駅東口(①番のりば)もしくは京浜急行新逗子駅南口より 京浜急行バス逗16系統「湘南国際村センター」行
終点「湘南国際村センター前」下車徒歩3分(所要時間約25分・片道350円)
JR逗子駅よりタクシーの利用で約13分
参加費 日本油化学会個人正会員(会員番号をお持ちの方)30,000円
日本油化学会法人会員会社勤務者・協賛学協会個人会員35,000円
学生18,000円
会員外45,000円
(参加費にはテキスト代、宿泊費、食事代、消費税を含みます。なお、既納会費は返却できませんのでご承知おき下さい。)
申込
方法
所要事項〔氏名、勤務先、連絡先(Tel、Fax、e-mailアドレス)、該当する参加費〕を記入したE-mailを下記へ送り、参加費をご送金ください。振込手数料はご負担願います。領収書はセミナー当日受付にてお渡しします。宛名は「会社名+氏名」といたしますが、特に御希望がございましたら、お知らせください。参加申込書を受け付けましたら折り返し参加のご案内をE-mailでお送りいたしますのでご確認ください。

問い合わせ先(申込先):
横浜国立大学大学院環境情報研究院 荒牧賢治
E-mail: aramakik@ynu.ac.jp 電話& FAX: 045-339-4300
送金先 横浜銀行和田町支店普通1440021
日本油化学会界面科学部会関東支部(ニホンユカガクカイカイメンカガクブカイカントウシブ)

 

【プログラム】 (演題と講師)
10月31日(月)

1.皮膚表面における摩擦現象に着目した化粧料・洗浄料の使用感のコントロール

14:10-15:10
山形大学大学院 野々村美宗氏

 化粧料や洗浄料を使用する時には、皮膚表面に力学・熱刺激が加わり、それが触感として認知される。本講演では、力学的刺激によって触覚が喚起されるメカニズムを概説した上で、触覚によって水と油が識別されるメカニズムを考える。さらに、オリジナルの触覚センシングシステムや官能評価手法を用いて、皮膚、毛髪、エマルション、皮膚洗浄剤や化粧用粉体・スポンジの手触りを評価した例を紹介する。

2.材料表面の細胞接着性制御と再生医療への応用

5:15-16:15
横浜国立大学大学院 福田淳二氏

 生体外で再生医療用の組織を作製する上で、材料の細胞接着性を制御する技術は重要である。本講演では、微細加工技術を用いて作製した凹凸基板に細胞非接着処理を施し、毛髪再生医療への展開を目指している研究を紹介する。また、材料の細胞接着性を電気化学を用いて接着性から非接着性へとスイッチングする技術も紹介する。この手法は、現在血管構造を含む立体組織の作製に応用している。

3.ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムとドデシルジメチルアミンオキサイドの混合ミセル溶液によるトリオレインの自発的乳化

16:20-17:05
ライオン株式会社 遠藤知佳氏

 「自発的乳化」は、摩擦等の機械力が及びにくい領域における洗浄力向上に関わる重要な界面現象であるが、その発現には多量の無機塩や有機溶剤が必要で、実用性に課題があった。我々は汎用界面活性剤のDDAOとAESの配合比を制御することでトリオレインの自発的乳化を実現できることを見出した。本現象の発現機構と、本技術を活用した台所用洗浄剤開発について概説する。

 

11月1日(火)

4.表面力・共振ずり測定によるトライボロジー評価

9:00-10:00
東北大学 粕谷素洋氏

 表面力装置はナノメートルオーダーで固体表面間の液膜の厚みを制御して、その特性を評価可能である。本講演では、この装置を用いた表面力測定、共振ずり測定や蛍光分光表面力装置等の評価手法について概説し、またそれらをトライボロジー評価に適用した例について紹介する。

5.塗布膜観察によるサンスクリーンの革新技術

10:20-11:05
株式会社資生堂 山口和弘氏

 近年のサンスクリーンは使用時の快適性が高まっているが、肌を守るという本来の効果が大切であることは言うまでもない。そして肌上の塗布膜で紫外線を防御する以上、サンスクリーンの効果は塗布膜の状態に左右される。そこで、サンスクリーンを塗布膜視点から考えるために新しい観察手法による塗布膜観察例を紹介するとともに、そこから生まれた新発想の「水に触れるとサンスクリーン効果が高まる技術」について紹介する。

6.疑似セラミドによる高含水αゲル製剤の開発と肌上に形成する疑似細胞間脂質膜

11:10-11:55
花王株式会社 内山雅普氏

 角層は皮膚最外層に存在する薄い膜であり、皮膚を健常に保つ役割を果たす。角層中の細胞間脂質は、角層細胞間隙に、皮表に対して平行に展開されたラメラ構造を形成することで保湿バリア機能を発揮する。セラミドは細胞間脂質の主成分であるが、本講演では、擬似セラミドを用いて、細胞間脂質に類似ラメラ構造を肌上に形成する、高含水α-ゲル製剤化技術について紹介する。

7.製剤成分の物理化学的性質と経皮吸収

13:00-13:45
株式会社コーセー 坂田修氏

 皮膚に適用する化粧品にとってその経皮吸収特性を把握することは有効性・安全性の両面から重要である。我々は皮膚に移行しにくい性質を持つ化粧品有効成分の経皮吸収について検討する中で、実使用条件では基剤成分の物理化学的性質が化粧品有効成分の経皮吸収に影響を及ぼすことを見出した。本講演では、化粧品製剤の基剤の物理化学的性質を考慮することによる経皮吸収制御の可能性について紹介する。

8.油性ゲルの物性制御と化粧料への応用

 13:50-14:50
東京工科大学 柴田雅史氏

 化粧品に用いられる油性ゲル化剤・増粘剤の種類と、ゲルの硬さ・塗布のしやすさ・オイル保持性などのゲル物性が発現する機構との関連を解説します。また口紅スティック、リップグロス、乳化製剤など化粧料を狙いの性能にすることや安定性を向上させるためのゲル化剤の選定・使用方法を紹介します。