日本油化学会

部会活動

日本油化学会第54回年会 界面科学部会シンポジウム

    界面科学部会 副部会長 松崎英男(東亞合成(株) アクリル事業部)
日時 2015年9月8日(火)13:30~16:30
場所 名城大学天白キャンパス

 本年度年会にて、界面科学部会は「化粧品、医薬品、食品分野における界面科学の役割」と題したシンポジウムを開催しました。いずれの分野でも界面科学に基づいたアプローチにより、材料や製剤の設計、及びその特性評価が行われています。各分野での界面科学の関わりを具体的な事例で実感して頂けるよう、各分野でご活躍の3名の先生方に以下タイトルにてご講演頂きました。


講演1:「ソフトマテリアルの触感コントロールとその化粧料への応用」【詳細・PDF→】
    (山形大大学院理工学研究科)野々村美宗氏

講演2:「プラズマを利用した微粒子酸化チタンの水中分散」【詳細・PDF→】
    (日本メナード化粧品(株))浅野浩志氏

講演3:「食品系における乳化」 【詳細・PDF→】
    (香川大農学部)合谷祥一氏


 講演1では野々村先生より、触覚に関するテクノロジーとその応用に関してご講演頂きました。人が水を識別する際に皮膚上で起こるスティックスリップ現象に喚起される触感を事例として、人の触覚受容器の応答や、その評価システムをご紹介頂きました。指紋形状を忠実に再現したウレタン製接触子を用いた手触り評価システムにより、触感とモノの物性を定量的に解析された事例は大変興味深く、会場からは食品分野での利用についてご質問頂きました。
 次に浅野先生より、メイクアップ化粧品の高性能化に向けた、粉体原料の高機能化に関する研究をご講演頂きました。代表的な粉体原料である微粒子酸化チタンは水中では大変凝集しやすい原料ですが、液面プラズマ法により表面改質することで、分散安定剤フリーで分散安定化できることをご紹介頂きました。プラズマ処理条件の影響や装置の概要についても解説頂きました。
 最後に合谷先生より、食品系における乳化の研究についてご講演頂きました。食用乳化剤と食用油を原料とするナノエマルションの界面科学的手法による調整について相図をもとに解説頂きました。乳化性に対する糖共存の影響や、親水性乳化剤(HGML等)と疎水性乳化剤(PGPR等)を組み合わせた系の特徴についてご紹介頂きました。
 当日、170名の会場はほぼ満席で、ご講演後も活発な質疑が行われました。シンポジウムを盛況の内に無事終えることができましたのも、年会実行委員長の田村廣人先生や年会事務局としていろいろ世話頂きました細田晃文先生のお蔭と感謝致します。有難うございました。